葬儀に参列する際、親族や知人から「受付をお願いできますか」と頼まれることがあります。
葬儀の受付は、単に香典を預かるだけの係ではありません。
参列者を最初に迎え、ご遺族に代わってお礼を伝え、香典や芳名帳を管理し、返礼品の案内や会場への誘導を行う大切な役割です。
そのため、受付を頼まれた方の中には、
「何をすればよいのか分からない」
「香典を受け取るときの言葉が不安」
「記帳や返礼品の渡し方に決まりはあるのか」
「失礼な対応をしてしまわないか心配」
と感じる方も多いのではないでしょうか。
葬儀の受付では、特別に難しいことを求められるわけではありません。
しかし、弔事の場である以上、落ち着いた態度、丁寧な言葉遣い、香典の確実な管理が必要になります。
受付係は、ご遺族側の立場に近い役割です。
参列者から見ると、受付に立っている人は「葬儀を行う側の人」として見られます。そのため、身だしなみ、表情、言葉遣い、立ち居振る舞いに気を配ることが大切です。
この記事では、葬儀の受付を頼まれた方に向けて、
● 受付係の役割
● 当日の流れ
● 香典の受け取り方
● 記帳の案内
● 返礼品の渡し方
● 受付で使う言葉
● 注意したいマナー
を分かりやすく整理します。
初めて受付を担当する方でも、基本の流れを知っておけば、当日落ち着いて対応しやすくなります。
葬儀の受付係とは何をする人か
葬儀の受付係は、通夜や葬儀・告別式に来られた参列者を迎え、記帳や香典の受け取り、返礼品の案内、会場への誘導などを行う役割です。
受付は、参列者が葬儀会場に到着して最初に接する場所です。
そのため、受付の対応が落ち着いていると、参列者も安心して会場に入ることができます。
主な役割は、次のようなものです。
● 参列者へのあいさつ
● 芳名帳や芳名カードへの記入案内
● 香典の受け取り
● 香典袋の整理
● 返礼品や会葬礼状の受け渡し
● 会場や控室への案内
● 弔電や供物に関する問い合わせ対応
● 受付終了後の香典や記録の引き継ぎ
葬儀社のスタッフが受付まわりをサポートする場合もありますが、香典の管理やご遺族側としての受け答えは、受付係が担うことが多くなります。
受付係は、葬儀の進行そのものを取り仕切るわけではありません。
ただし、参列者対応と香典管理という大切な部分を任されるため、責任のある役割といえます。
受付係は誰が担当することが多いか
葬儀の受付係は、故人様やご遺族と近すぎない親族、友人、会社関係者などに依頼されることが多いです。
喪主やごく近い家族は、参列者への対応、宗教者へのあいさつ、葬儀社との確認などで忙しく、受付に立ち続けることが難しいためです。
そのため、受付は次のような方に頼まれることがあります。
● 少し離れた親族
● 故人様の友人や知人
● 喪主の友人
● 会社関係者
● 近所付き合いのある方
● 自治会や町内会の方
受付を頼まれた場合は、ご遺族から信頼されていると考えてよいでしょう。
ただし、受付では香典を預かるため、お金の管理に責任が伴います。
引き受ける際は、当日の集合時間、受付方法、香典の保管方法、終了後の引き継ぎ先を事前に確認しておくことが大切です。
受付係が事前に確認しておくこと
受付を頼まれたら、当日になって慌てないように、事前にいくつか確認しておきましょう。
特に大切なのは、受付開始時間と、香典を最終的に誰へ渡すかです。
事前確認リスト
● 集合時間
● 受付開始時間
● 受付を担当する人数
● 香典を受け取るか、香典辞退か
● 芳名帳か芳名カードか
● 返礼品をその場で渡すか、後日対応か
● 会葬礼状の渡し方
● 弔電、供花、供物の問い合わせ先
● 香典を最後に誰へ引き継ぐか
● 葬儀社スタッフの担当者名
近年は、家族葬や小規模葬で香典を辞退する場合もあります。
その場合、受付では香典を受け取らず、記帳だけをお願いすることもあります。
香典辞退の葬儀では、参列者が香典を持参されることもあります。
その際に「お気持ちだけ頂戴いたします」と伝えてお返しするのか、例外的に受け取るのかは、ご遺族や葬儀社と確認しておく必要があります。
受付係が独自判断で対応すると、後からご遺族が困ることがあります。
判断に迷うことは、事前に確認しておきましょう。
受付係の服装と身だしなみ
受付係は、参列者を迎える立場になるため、服装と身だしなみにも注意が必要です。
基本は、一般の参列者と同じく喪服です。
男性はブラックスーツ、白いワイシャツ、黒いネクタイ、黒い靴下、黒い靴が基本です。女性は黒のワンピース、アンサンブル、スーツなど、落ち着いた喪服を着用します。
受付では立ったり座ったりする動きが多く、香典や返礼品を扱うため、動きやすさも大切です。
注意したい点は次の通りです。
● 派手なアクセサリーは避ける
● 香水や強い香りは控える
● 長い髪はまとめる
● 靴は歩きやすく音が響きにくいものにする
● スマートフォンの音は切っておく
● 受付中の私語や笑い声は控える
受付は、会場の入口に近い場所に設けられることが多く、参列者から見えやすい位置です。
そのため、落ち着いた印象を意識しましょう。
受付の基本的な流れ
葬儀の受付は、一般的に次のような流れで進みます。
順番 |
内容 |
1 |
参列者を迎える |
2 |
お悔やみの言葉を受ける |
3 |
香典を受け取る |
4 |
記帳を案内する |
5 |
返礼品や会葬礼状を渡す |
6 |
会場や控室へ案内する |
7 |
香典と芳名記録を整理する |
8 |
受付終了後にご遺族へ引き継ぐ |
会場によっては、先に記帳してから香典を受け取る場合もあります。
また、芳名帳ではなく芳名カードを使用する場合、カード記入後に香典と一緒に受け取ることもあります。
どの順番で行うかは、会場や葬儀社のやり方によって異なります。
当日は葬儀社スタッフから受付方法の説明を受け、その流れに従って対応するのが基本です。
参列者を迎えるときの言葉
受付では、参列者から先にお悔やみの言葉をかけられることが多くあります。
たとえば、
「このたびはご愁傷さまでございます」
「心よりお悔やみ申し上げます」
といった言葉を受けることがあります。
この場合、受付係はご遺族に代わって、短くお礼を述べます。
受付で使いやすい返答
● 本日はお忙しい中、ありがとうございます。
● ご丁寧に恐れ入ります。
● お心遣いありがとうございます。
● 本日はご会葬いただき、ありがとうございます。
受付係が長く返答する必要はありません。
落ち着いた声で、短く丁寧に答えれば十分です。
「ありがとうございます」は弔事で使ってよいのかと心配される方もいますが、参列へのお礼として使って問題ありません。
ただし、明るく弾んだ調子にならないよう、静かに伝えることが大切です。
香典を受け取るときの流れ
香典を受け取るときは、両手で丁寧に受け取ります。
参列者は袱紗から香典袋を取り出し、表書きが受付側に読める向きで差し出すことが多いです。受付係は、それを両手で受け取り、軽く一礼します。
その際の言葉は、次のようなもので十分です。
● お預かりいたします。
● ご丁寧にありがとうございます。
● 恐れ入ります。
「頂戴いたします」という言い方も使われることがありますが、受付係はご遺族に代わって預かる立場なので、「お預かりいたします」と言うと自然です。
香典を受け取ったら、所定の箱や盆、袋などに入れ、芳名帳や芳名カードと対応できるように整理します。
香典は大切な金品です。
受付中に机の上へ無造作に置いたり、人目につきやすい場所に積んだりしないよう注意しましょう。
記帳の案内
受付では、香典を受け取ったあと、または受け取る前に記帳をお願いします。
記帳には、芳名帳に書いていただく方法と、芳名カードに記入していただく方法があります。
受付での案内は、次のような言葉で問題ありません。
● 恐れ入りますが、こちらにご記帳をお願いいたします。
● お名前とご住所のご記入をお願いいたします。
● こちらの芳名カードにご記入ください。
記帳は、葬儀後にご遺族が参列者を確認したり、香典返しを準備したりするために重要です。
特に住所や氏名が読みにくい場合は、後で確認が難しくなることがあります。
ただし、受付の場で細かく指摘しすぎると失礼に感じられる場合もあるため、必要に応じて「恐れ入りますが、ご住所もお願いいたします」と静かに案内する程度にしましょう。
返礼品・会葬礼状の渡し方
受付では、香典や記帳のあとに、会葬礼状や返礼品を渡すことがあります。
渡すタイミングは、会場や地域、葬儀社の方式によって異なります。
受付時に渡す場合もあれば、帰り際に渡す場合もあります。
受付で渡す場合は、次のように声をかけます。
● こちらをお持ちください。
● 会葬御礼でございます。
● 本日はありがとうございます。
返礼品は、参列者一人につき一つなのか、香典一件につき一つなのか、会社や連名の場合はどうするのかを事前に確認しておく必要があります。
特に会社関係や連名の香典では、返礼品の数で迷うことがあります。
受付係だけで判断せず、葬儀社スタッフやご遺族の指示に従いましょう。
会場への案内
受付後、参列者へ式場や控室の場所を案内します。
葬儀会場によっては、受付から式場までの動線が分かりにくい場合があります。
そのため、受付係は事前にトイレ、式場、控室、焼香の場所などを確認しておくと安心です。
案内の言葉は、次のように簡潔で構いません。
● 式場はこの先でございます。
● 係の者がご案内いたします。
● お時間まで控室でお待ちください。
● 開式まで、こちらでお待ちください。
不明なことを聞かれた場合は、無理に答えようとせず、「確認してまいります」「葬儀社の者に確認いたします」と伝えましょう。
受付係が曖昧な案内をすると、参列者が迷ってしまうことがあります。
香典管理で注意すること
受付係の中でも、特に慎重さが求められるのが香典管理です。
香典は現金を含むため、紛失や取り違えがないように管理する必要があります。
注意点
● 受付を離れるときは必ず誰かに声をかける
● 香典を机の上に放置しない
● 香典袋と芳名カードをできるだけ対応させる
● 途中で勝手に中身を確認しない
● 受付終了後は決められた人へ直接引き継ぐ
● 引き継ぎ時は香典と芳名記録を一緒に渡す
香典の中身をその場で確認するかどうかは、葬儀社やご遺族の方針によって異なります。
受付係が自己判断で開封するのは避けた方がよいでしょう。
受付終了後は、香典、芳名帳、芳名カード、香典記録などをまとめ、指定されたご遺族や会計担当者へ直接渡します。
「机の上に置いておく」「誰かに預けておく」といった曖昧な引き継ぎは避けましょう。
香典辞退の場合の受付対応
香典辞退の葬儀では、受付の対応が少し変わります。
参列者が香典を持参された場合、基本的にはご遺族の意向に沿って、丁寧に辞退します。
その際は、次のような言葉を使います。
● ご厚意ありがとうございます。誠に恐れ入りますが、ご遺族の意向によりご香典は辞退させていただいております。
● お気持ちだけありがたく頂戴いたします。
● ご丁寧にありがとうございます。ご遺族の希望により、お預かりを控えさせていただいております。
ここで大切なのは、強い言い方にならないことです。
参列者は弔意を表すために香典を持参されています。
その気持ちに感謝を示したうえで、ご遺族の意向として丁寧にお断りすることが大切です。
ただし、香典辞退であっても、一部の親族だけは受け取る場合や、供花・供物は受け付ける場合があります。
例外対応については、必ず事前に確認しておきましょう。
受付中に困りやすい場面
受付では、想定外の質問や対応が発生することがあります。
たとえば、次のような場面です。
● 香典を持ってこなかった方から記帳だけできるか聞かれる
● 会社名で記帳するか個人名で記帳するか迷われる
● 返礼品を複数ほしいと言われる
● 弔電や供花の届け先を聞かれる
● 遅れて来た方の案内が必要になる
● 香典辞退なのに強く渡したいと言われる
このようなときは、受付係だけで抱え込まず、葬儀社スタッフやご遺族側の担当者に確認します。
受付係の役割は、すべてを判断することではありません。
分からないことを正確に確認し、必要な人につなぐことも大切な役割です。
受付係が避けたい行動
葬儀の受付では、次のような行動は避けましょう。
● 受付で大きな声で笑う
● 参列者の香典金額について話す
● 香典袋を人目につく場所に並べる
● 受付中にスマートフォンを頻繁に見る
● 私語が多くなる
● 不明点を自己判断で処理する
● 香典を誰に渡したか曖昧にする
受付は会場の入口であり、参列者から見られやすい場所です。
控えめで落ち着いた態度を心がけるだけでも、印象は大きく変わります。
また、香典や参列者に関する情報は、個人的な話題にしないことが大切です。
葬儀の受付では、守秘性と慎重さも求められます。
受付終了後に行うこと
受付が終わったら、香典、芳名帳、芳名カード、返礼品の残数などを整理します。
最終的には、ご遺族または会計担当者、葬儀社の指示された担当者へ引き継ぎます。
引き継ぎ時に確認すること
● 香典袋の数
● 芳名帳や芳名カードの有無
● 返礼品の残数
● 未記入の方がいないか
● 弔電や供花の問い合わせがあったか
● 香典辞退で対応した件があるか
引き継ぎは、できるだけ複数人で確認しながら行うと安心です。
葬儀後、ご遺族は香典返しやお礼状の準備を行うことがあります。
そのため、受付で集めた記録は非常に大切です。
「誰が来たか」「誰から香典を預かったか」が分かりやすい形で残っていると、ご遺族の後日の負担を減らすことにもつながります。
さいたま葬儀サポートとしてお伝えしたいこと
葬儀の受付は、目立つ役割ではありませんが、葬儀全体を支える大切な係です。
参列者を最初に迎える場所であり、香典や記録を扱う場所でもあるため、落ち着いた対応と丁寧な確認が求められます。
さいたま葬儀サポートでは、受付を担当される方には、難しい言葉を無理に使うよりも、次の三つを意識していただくことをおすすめしています。
● 落ち着いて迎えること
● 香典や記録を丁寧に扱うこと
● 分からないことは自己判断せず確認すること
この三つができていれば、受付として大きな失礼になることは少ないです。
葬儀の場では、参列者もご遺族も気持ちが落ち着かないものです。
受付係が穏やかに対応することで、会場全体の雰囲気も整いやすくなります。
受付を頼まれたときは、不安に思いすぎず、基本の流れを確認し、ご遺族に代わって丁寧にお迎えする気持ちで臨むとよいでしょう。
まとめ
葬儀の受付係は、参列者を迎え、記帳を案内し、香典を受け取り、返礼品や会葬礼状を渡し、会場へ案内する役割です。
受付は参列者が最初に接する場所であり、ご遺族側の立場に近い役割でもあります。
そのため、服装、言葉遣い、態度、香典管理には注意が必要です。
受付を頼まれたら、事前に集合時間、受付開始時間、香典を受け取るかどうか、記帳方法、返礼品の渡し方、香典の引き継ぎ先を確認しておきましょう。
香典を受け取る際は、両手で丁寧に受け取り、「お預かりいたします」「ご丁寧にありがとうございます」などと静かに伝えます。記帳は、氏名や住所が分かるように案内し、返礼品や会葬礼状は葬儀社やご遺族の指示に従って渡します。
香典辞退の場合は、ご遺族の意向として丁寧に辞退します。
ただし、例外対応がある場合もあるため、自己判断せず事前確認が大切です。
受付中に分からないことがあれば、葬儀社スタッフやご遺族側の担当者へ確認しましょう。
受付係がすべてを判断する必要はありません。
葬儀の受付で最も大切なのは、落ち着いた態度で参列者を迎え、香典や記録を確実に扱い、ご遺族へ正しく引き継ぐことです。
受付を頼まれたときは、基本の流れと言葉遣いを知っておくだけで、不安を減らして対応しやすくなります。



