病院から突然、「危篤です。できるだけ早くお越しください」と連絡が入ると、多くの方は強い不安と動揺で、何から手を付ければよいのか分からなくなってしまいます。
「まず誰に知らせればよいのか」
「すぐ病院へ向かうべきなのか」
「何を持って行けば困らないのか」
「勤務先にはどのように伝えればよいのか」
このような判断を、短い時間の中でいくつも求められることになります。
危篤とは、一般的に医師が、回復の見込みが非常に低く、生命に危険が迫っていると判断した状態をいいます。ただし、危篤と告げられたからといって、必ずすぐに亡くなるわけではありません。数時間で容体が急変することもあれば、一時的に状態が落ち着き、数日間小康状態が続くこともあります。
そのため、危篤の連絡を受けたときに大切なのは、慌ててすべてを一気に決めようとすることではありません。まずは医師や看護師の説明を落ち着いて聞き、必要な人へ順番に連絡し、病院へ向かう準備を整えることです。そして何より、ご本人との残された時間をできるだけ大切にすることが中心になります。
危篤時に必要なのは、すべての準備を完璧に済ませることではありません。
医師の説明を正しく理解すること、家族内で連絡と役割分担をすること、病院の面会ルールを確認すること、そして本人のそばで静かに寄り添うことが大切です。
この記事では、危篤と言われたときに家族がまず何をすればよいのかを、
● 最初に確認すること
● 連絡する相手と順番
● 病院へ持っていくもの
● 病院での過ごし方
● もしもの後に備えておくこと
という流れで、実際に動きやすい形で整理します。
大切な方との時間を後悔なく過ごすために、必要なことを一つずつ確認していきましょう。
危篤とはどのような状態か
危篤とは、病気やけがなどにより、回復の見込みが少なく、命に危険が迫っていると医師が判断した状態です。呼吸が弱くなる、血圧や心拍が低下する、意識がはっきりしなくなるなどの変化が見られることもありますが、最終的には担当医が全体の状態を見て、家族へ説明します。
つまり危篤は、単に「重い病状」という意味だけではなく、命に関わる危険が差し迫っている段階として受け止める必要があります。
一方で、危篤と告げられたからといって、必ずすぐに亡くなるとは限りません。数時間で亡くなる場合もあれば、数日間状態が続くこともあります。そのため、「まだ大丈夫だろう」と考えすぎるのも、「もう間に合わない」と決めつけるのも避けた方がよいでしょう。
危篤の連絡を受けたら、今向かわなければ後悔するかもしれない、という前提で行動することが現実的です。
最初にすることは「医師の説明を落ち着いて聞く」こと
危篤と言われた直後は、誰でも冷静ではいられないものです。
ただ、その中でも最初に行うべきことは、医師や看護師の説明をできるだけ落ち着いて聞くことです。
確認しておきたい内容は、主に次のような点です。
● 現在どのような状態なのか
● 面会は可能なのか
● どのくらい急いで病院へ向かう必要があるのか
● 家族は何人まで入れるのか
● 延命処置や今後の対応について判断が必要なのか
● 病院側から家族へお願いされていることはあるか
分からないことがあれば、その場で遠慮せずに確認して構いません。説明を聞くだけで精一杯になりそうな場合は、メモを取る、家族に電話をつなぐ、看護師にもう一度確認するなどして、内容を整理しておくと安心です。
ここで大切なのは、危篤という言葉だけに反応して、すぐ全員へ一斉に連絡してしまうことではありません。まず病院側の説明を聞き、どの程度急ぐ必要があるのか、面会できる状況なのか、今すぐ必要なものは何かを確認することで、その後の動きが落ち着きやすくなります。
さいたま葬儀サポートでも、危篤段階でご相談をいただく際には、まず病院から伝えられている内容を整理し、そのうえで家族内の連絡や今後の流れを考えていくことをおすすめしています。
誰に連絡するか:まずは近い家族、その次に親しい人
危篤の連絡を受けたら、まず近い家族へ知らせます。
一般的には三親等以内の親族が一つの目安になります。
配偶者、子ども、親、兄弟姉妹、祖父母、孫、叔父・叔母、甥・姪、ひ孫などが該当します。ただし、これはあくまで目安です。三親等に入らない方でも、本人が特に親しくしていた人、最後に会わせたい人、家族として知らせるべきだと感じる人がいれば連絡して問題ありません。
反対に、親族が多い場合は、全員に自分一人で連絡しようとすると大きな負担になります。その場合は、代表者を決めて、そこから各方面へ連絡を広げてもらう方法が現実的です。
連絡の優先順位の目安
優先度 |
相手 |
連絡する理由 |
最優先 |
配偶者・子・親・兄弟姉妹 |
すぐに病院へ向かうか判断が必要なため |
高い |
近い親族・喪主候補になり得る家族 |
今後の判断や役割分担に関わるため |
高い |
特に親しい親族・友人 |
最後に会わせたい場合があるため |
必要に応じて |
本人の勤務先・自分の勤務先 |
業務や休暇の調整が必要になるため |
危篤の連絡は、早朝や深夜であっても電話で伝えるのが基本です。
メールやメッセージは補足には使えますが、緊急性が高い第一報には向きにくい場合があります。
ただし、自分の勤務先への連絡については、夜間であればメールやメッセージで一報を入れ、朝になってから電話で補足するという方法でもよいでしょう。
連絡するときに伝える内容
危篤の連絡では、長く詳しく説明する必要はありません。
まずは相手がすぐに状況を理解し、動ける情報を伝えることが大切です。
最低限伝えたいのは、次の5点です。
● 誰が危篤なのか
● 今どこにいるのか
● 病院名、必要であれば病棟や病室
● できれば来てほしいこと
● 自分の連絡先
相手も突然の知らせで動揺する可能性があります。病院名、住所、自分の携帯番号などは、できるだけはっきり伝えましょう。
親族への電話例
〇〇です。突然の連絡でごめんなさい。
母が今、〇〇病院で危篤だと連絡がありました。
できれば早めに病院へ来てもらえたらと思い、連絡しました。
病院名は〇〇病院です。私の携帯番号は〇〇です。
来られそうか分かったら、折り返し連絡をください。
この程度の短さでも十分です。
危篤の連絡では、きれいな文章を作ることよりも、相手がすぐ判断できる情報を落ち着いて伝えることの方が重要です。
病院へ向かう前に持っていきたいもの
危篤の連絡を受けたら、できるだけ早く病院へ向かうことが基本です。
ただし、何も持たずに慌てて出てしまうと、後から困ることがあります。
危篤状態がどのくらい続くかは分かりません。数時間で状況が変わる場合もあれば、付き添いが長時間に及んだり、泊まり込みに近い状態になったりすることもあります。
そのため、最低限の持ち物を準備してから向かうと安心です。
持ち物の目安
持ち物 |
理由 |
携帯電話・充電器 |
家族や関係者との連絡、情報共有に必要 |
財布・現金・カード |
交通費、食事代、急な支払いに備えるため |
親族や関係者の連絡先 |
その場で連絡が必要になることがあるため |
着替え・下着 |
長時間の滞在や泊まり込みに備えるため |
洗面用品 |
数日付き添う可能性があるため |
常備薬 |
自分自身の体調管理のため |
メモ帳・筆記具 |
医師の説明や連絡内容を記録するため |
羽織るもの |
病院内の温度調整に備えるため |
ただし、荷物を大きくしすぎる必要はありません。
まずは最低限のものを持ち、足りないものは後から家族に届けてもらう、交代で付き添う、という形の方が動きやすい場合もあります。
病院での過ごし方:本人のそばで静かに寄り添う
病室に着いたら、まず本人の様子を確認し、可能であれば静かに声をかけます。
意識がある場合はもちろん、意識がないように見えても、声や気配が伝わっている可能性があると考えて接するとよいでしょう。
「来たよ」
「そばにいるよ」
「ありがとう」
「安心してね」
このような短い言葉だけでも十分です。
無理に励まそうとしたり、何か特別なことを言おうとしたりする必要はありません。本人の不安を増やさないように、穏やかに寄り添うことが大切です。
言葉が見つからないときは、手を握る、そばに座る、静かに見守るだけでも構いません。危篤の場面では、「何かをしてあげなければ」と思い詰めるよりも、そばにいることそのものが大きな支えになる場合があります。
家族自身も強い不安や疲れを抱えます。無理をしすぎず、分からないことや不安なことは、医師や看護師に相談してよいと考えてください。
病院でのマナーと注意点
危篤時は特別な状況ですが、病院のルールは必ず守る必要があります。
面会人数、面会時間、飲食、花の持ち込み、香りの強いものの使用、病室内での会話などについては、病院ごとにルールが異なります。終末期や急変時には通常とは別の対応になることもありますが、最終的には病院側の指示に従うことが大切です。
特に注意したいのは、次のような点です。
● 大人数で一度に押しかけない
● 病棟や廊下で大きな声を出さない
● 医師や看護師の指示に従う
● 香水など香りの強いものは避ける
● 貴重品は自分で管理する
● 本人の前で病状や死期を断定する話をしない
● ほかの患者さんやご家族への配慮を忘れない
「最後に会いたい」という気持ちは自然なものです。
しかし、病院全体の安全や本人の状態、ほかの患者さんへの配慮も必要です。気持ちが焦る場面だからこそ、病院の案内に従いながら落ち着いて行動しましょう。
家族内で分担しておくとよいこと
危篤時は、一人がすべてを抱え込むと、判断も連絡も混乱しやすくなります。
家族が複数いる場合は、できるだけ役割を分けて動くことをおすすめします。
たとえば、次のように分担すると動きやすくなります。
● 病院に付き添う人
● 親族への連絡をまとめる人
● 会社や学校へ連絡する人
● 必要な荷物を持ってくる人
● 遠方の親族と連絡を取る人
● もしもの後の流れを確認する人
すべてを一人で行おうとすると、精神的にも体力的にも大きな負担になります。連絡先の一覧を作り、誰に連絡したか、誰から返事があったかをメモしておくと、後で混乱しにくくなります。
また、家族の中で特に動揺している人がいる場合、その人に重要な判断を集中させないことも大切です。危篤時は本人だけでなく、家族にとっても大きな負担がかかる場面です。
「自分がしっかりしなければ」と一人で抱え込むよりも、周囲の力を借りながら支える方が、結果として本人との時間も大切にしやすくなります。
夜間や遠方の場合はどうするか
危篤の連絡は、深夜や早朝に入ることもあります。
その場合でも、本人と近い関係の方には、時間を問わず連絡するのが一般的です。
遠方の親族についても、すぐに来られるかどうかは別として、まず一報を入れておいた方がよいことが多いです。後になって「知らせてほしかった」と言われるよりも、来訪を強制しない形で早めに伝えておく方が、後悔を減らしやすくなります。
遠方から向かう場合は、次の点を確認しておくと動きやすくなります。
● 新幹線や飛行機の最終便
● タクシーや公共交通機関の利用方法
● 宿泊が必要かどうか
● 病院の面会条件
● 到着予定時間を誰に伝えるか
焦って無理な運転をするよりも、安全に確実に向かうことが大切です。気が動転しているときは、自分で車を運転せず、タクシーや公共交通機関を使うことも検討しましょう。
亡くなる前に、少しだけ備えておくとよいこと
危篤と言われた段階では、まだ亡くなったわけではありません。
そのため、まずは本人との時間を最優先にするべきです。
ただし、もしもの後は、病院での手続き、搬送先の確認、親族への連絡などで急に慌ただしくなることがあります。本人との時間を大切にしながらも、家族の中で最低限のことだけ確認しておくと、その後の混乱を少し減らすことができます。
確認しておきたいのは、次のような点です。
● 安置先を自宅にするか、施設にするか
● 葬儀について相談する先はあるか
● 菩提寺や付き合いのある寺院はあるか
● 遺影に使えそうな写真はあるか
● 親族連絡をまとめる代表者は誰か
● 本人の希望を家族が把握しているか
ここで大切なのは、準備に意識を取られすぎて、本人との時間を失わないことです。
危篤の段階で葬儀内容を細かく決める必要はありません。
「もしものとき、最初に誰へ連絡するか」
「病院からどこへ搬送するか」
この二つがある程度見えているだけでも、その後の動きは大きく変わります。
さいたま葬儀サポートでも、危篤段階のご相談では、葬儀の内容を細かく決めることよりも、まず最初の動きが止まらないようにすることを大切にしています。
危篤時に避けたいこと
危篤時は、善意であっても避けた方がよい行動があります。
たとえば、本人の前で大声で取り乱す、病状や死期について断定的に話す、病院のルールを無視して大人数で押しかける、本人の近くで葬儀や費用の話を長く続ける、といった行動です。
また、家族の誰かが「自分だけで全部やる」と抱え込みすぎることも避けたいところです。危篤時には、家族自身の心身にも大きな負担がかかります。必要に応じて、医師や看護師、親族、信頼できる人へ相談して構いません。
危篤の場面では、完璧な正解を探すことよりも、後悔を少しでも減らすことが大切です。
そのためには、
● 病院の説明を落ち着いて聞く
● 必要な人へ順番に連絡する
● 本人のそばで静かに過ごす
● 家族で役割を分けて支え合う
この基本から外れないようにすることが大切です。
危篤時チェックリスト
まず確認すること
● 医師や看護師の説明を聞く
● 現在の状態を確認する
● 面会できるか確認する
● 面会人数や時間を確認する
● 今すぐ来てほしい範囲を把握する
連絡すること
● 配偶者、子、親、兄弟姉妹へ連絡する
● 必要に応じて親族代表を決める
● 特に親しい親族や友人へ知らせる
● 自分の勤務先へ簡潔に一報を入れる
● 遠方の親族には移動の判断ができるよう早めに伝える
持っていくもの
● 携帯電話、充電器
● 財布、現金、カード
● 親族や関係者の連絡先
● 着替え、下着
● 洗面用品
● 常備薬
● メモ帳、筆記具
● 羽織るもの
病院で行うこと
● 本人のそばで静かに寄り添う
● 可能であれば声をかける
● 病院の面会ルールを守る
● 大人数で押しかけない
● 家族で役割分担をする
● 医師や看護師に分からないことを確認する
余裕があれば確認すること
● もしもの後の連絡代表者
● 安置先を自宅にするか施設にするか
● 葬儀を相談する先
● 菩提寺の有無
● 遺影候補の写真
● 本人の希望や家族の考え
まとめ
危篤とは、回復の見込みが非常に低く、命に危険が迫っていると医師が判断した状態です。ただし、危篤と告げられても、必ずすぐに亡くなるとは限りません。数時間で状況が変わる場合もあれば、数日間小康状態が続く場合もあります。
だからこそ、危篤の連絡を受けたら、慌てすぎず、まずは医師や看護師の説明を聞き、必要な人へ順番に連絡し、できるだけ早く病院へ向かうことが大切です。
連絡の目安としては、配偶者、子、親、兄弟姉妹など近い家族を最優先にし、その後、親しい親族や友人、勤務先などへ必要に応じて知らせます。三親等以内は一つの目安になりますが、本人が特に会いたがっていた方や、家族として知らせたい方がいる場合は、その範囲にこだわる必要はありません。
病院へ向かう際は、携帯電話、充電器、現金、カード、着替え、常備薬、連絡先メモなどを持って行くと安心です。病院では、面会人数、面会時間、持ち込み、感染対策など、施設ごとのルールに従いましょう。
危篤時に本人へできることは、特別な言葉を探すことだけではありません。静かにそばにいること、手を握ること、感謝を伝えること、家族で支え合うことも大切な時間になります。
危篤時は、完璧に対応することよりも、後悔を増やさないように、今できることを一つずつ行うことが何より大切です。
もしもの後の搬送や安置、葬儀の流れについて不安がある場合は、早い段階でさいたま葬儀サポートへご相談ください。家族の状況に合わせて、最初に何をすればよいかを分かりやすくご案内いたします。



